いきなり先週と関係ないテーマですが、
昨日、ソーシャルカンファレンスと言うイベントに参加して来たのでその報告です。
このイベントは大元さんと言う方が主催するFacebookグループ発案で開催された、
日本のスタートアップ企業の知名度を高める事を目的とした有志によるイベントです。
集客はほとんどFacebookやTwitter等のソーシャルメディア上でしか行われていなかったようですが、
有料のイベントにもかかわらず、300人の収容人数を大きく超える参加希望があり会場はかなりの熱気でした。
10:00~17:00までほとんど休みなく様々な方のプレゼンが行われていましたが、
その中で私が面白いと思ったものをピックアップして紹介すると共に、最後に私なりの総括を述べたいと思います。
- ループス斉藤氏の講演
言わずと知れた、国内でのソーシャルメディア推進の旗手。ループスコミュニケーションズ代表取締役 斉藤 徹氏の講演。
詳しくはこちらのメモをご参照頂きたいのですが、
ポイントは以下の通り
・Webサイトへの流入経路もソーシャルにシフトしつつある。
・情報が友人を介して伝わる時代に入った。
・情報流通の可否は発信者ではなく、中継者が決める時代。
・これからのマーケティングは「購入」後の共有、支援が重要。
・ソーシャルメディアを活用しようとすると大きな壁にぶつかる。
・コントロールするマネジメントの終焉、オープンリーダーシップの時代。
・謙虚に、かつ自信を持ってコントロールを手放すと同時に、
その相手から献身と、責任を引き出す。 - ブロガー イケダハヤト氏の講演
トライバルメディアハウス出身のブロガーで、精力的にソーシャルメディアに関するブログを更新しており、最近はソーシャルメディアとNPOの親和性の高さに着目し、NPO支援の活動も手掛ける。講演メモはこちら。
・NPO関連の広告は非常にCTRが高い。(通常の10倍)
・人は何に共感し、なぜ関与するのか?
⇒キーワードは「問題意識」だと考える。
・「問題意識」と言う旗を立てる事でそこに人が集まってくる。
・全ての共感の原点は「問題意識」の共有。
・あなたが何をどう変えたいのか?を追求する事が重要。 - バンダイナムコ 定元氏の講演
講演メモはこちら。
ソーシャルゲームについてのお話。本筋と違うので割愛。 - Yahoo!Japan 吉田氏の講演
講演メモはこちら。Yahoo!ロコについてのお話。これも個別なお話なので割愛。
- KDDI平野氏の講演
講演メモはこちらAndroidに関する講演。
今後しばらくはAndroidとガラケーが併存する時代が続く。 - マイクロソフト 高橋氏の講演
講演メモはこちらWindowsPhone7に関する講演
・WindowsPhone7の実機デモ。
IphoneともAndroidとも違うUIで想像以上に魅力的だった。
後発のメリットを生かし、iphoneに無い自由度と、Androidに無い安定感を
上手くバランスさせた良いプラットフォームに見えた。 - スタートアップ企業各社のプレゼン
本カンファレンスの趣旨であるスタートアップ企業の知名度向上の為のコンペ。
正直、コンペの体を成していなかった気もするがそこは目をつぶる。
いかがプレゼンのメモ
・FeelOn!
・life2Bit
・LEDEX
・エクスチェンジコーポレーション
・ノボットこの中で一番面白かったのはやはり、1つ目のFeelOn!でしょう。
これはiphone向けのTwitterクライアントなのですが、
Tweetの内容を解析してその感情にマッチしたマンガを添えて表示すると言う
画期的なアプリです。
使って見るのが手っ取り早いのでIphoneの人は使って見てください。
私はAndroidなので無理ですが。。。。このツールの凄い所は本格的なエモーションエンジンを搭載しており、
しかも使えば使うほど全体として学習して行く機能まで備えている。更には、既に米国デビューが予定されており、世界展開を視野に入れている。
日本が得意とするマンガに骨太な言語解析技術をミックスして、
世界に打って出ようとしている非常に有望なスタートアップと見ました。日本にもこう言う企業があるんだなと、改めて実感しました。
- パネルディスカッション
「これからのスタートアップに求められる物」と言うテーマでパネルディスカッションが行われました。こちらがメモです。・企業のTwやFb施策をスタートアップが支援する事が出来るか?
⇒多くのサードパーティーツールは海外のスタートアップよるものだ。
・エンジニアは課題解決型になりがちだが、そこから離れて社会的なイノベーションを考えて無理をしなければいけない。
・クラウドサービス、各種SNS等のAPI公開でLeanStartUPが可能になっている。(まずサービスを立ち上げて、上手く行きそうなら企業する)
・優秀な人材を集めるのは難しい。
⇒夢を提示して、それに共感する人を集める方が良い人が来てくれる。などなど、とても面白い議論が聞けました。
- 私の総括
さて、総括と言うと大仰ですが、今回のカンファレンスに参加して私が重要と思った事をまとめます。ひとつは、世の中が確実にオープンでフラットな方向に向かっていると言う事。
普通のIT系サラリーマンである大元氏が立案したこのカンファレンスが開催に漕ぎ着けている事がまず象徴です。
熱意と行動力さえあれば、個人であっても大きな事がやれる時代です。私の天気予報アプリが28万件もダウンロードされる様になった事も同様。
プログラミングは趣味でかじった程度だった私がアイデア一つで作ったアプリがこれ程利用してもらえるようになるなんて、
想像だにしていませんでいた。いや、実際少し前ならこう言う事は起こりえなかったんです。
それが可能になったのは、我々個人のパワーが全体として底上げされているからです。
要因は幾つもありますが、その代表的なものは、
「ソーシャルメディア」と「クラウド」、そして「スマートフォン」でしょう。ソーシャルメディアによって、個人は急激に「情報力」を身につけています。
大元さんが手にした力はまさにこれです。ただの個人であっても、熱意と行動力があれば同じ思いを抱く人々を集め大きな事ができるのです。
また、様々な安価で気軽に使えるクラウドサービスの普及により、
個人でも気軽に新しいサービス、アプリを提供する事が出来るようになりました。そして、スマートフォン。
デバイスとしての利便性も去る事ながら、誰でも比較的簡単にアプリを作り、
販売できると言うオープンなプラットフォームにより、
私の様な趣味でプログラミングをする個人に企業と同等以上に渡り合うチャンスが与えられました。他にも色々あると思いますが、
これらの全てが、社会に置ける個人のパワーを押し上げる方向に働いています。これを企業の側から見れば、その意味する所は今までのやり方が通用しなくなると言う事です。
ここ数10年のマーケティング活動は、マスメディアを通して企業から生活者へ一方向に流れるもので、
そのコントロールは企業が担う事ができました。(もちろん、そのコントロールの巧拙はありますが)カスタマーサポートについても基本的には個々の案件に効率的に対応する事が重視され、
コストセンターとしての認識が大勢でした。ですが、これからはこれが変わります。
企業から発信するマーケティング情報は一度、生活者集団の目でフィルタリングされる様になり、
思う様に届ける事が難しくなります。また、カスタマーサポートについても、マズイ対応があれば、それは従来よりはるかに早く、広く伝播し、
ブランドイメージをあっと言う間に下げる事になります。社会の構造が変わるのですから、今まで正しかったやり方が通用しなくなるのは当たり前でしょう。
そう言う変革の時期に来ている事を企業は自覚すべきです。では、どうすれば良いか?
その答えはまだどこにもありませんが、ヒントならいくつかあります。良く言われるのは古き良き、小さな商店と、常連客のイメージです。
店員は常連客と顔見知りで、誰がどんな趣味嗜好なのか分かっています。
なので、お店に来た時に最適な商品をお勧め出来ますし、
お客さんがどんな風に感じているか、何を不満に思っているかも対面しているのではっきり分かります。
お店に非がある事が明確であれば、スグにそれを改善する事も出来ます。
自分の要望が受け入れられたお客さんは喜び、ますますその店を好きになってくれます。と言った感じで、高度な顧客コミュニケーションにより自社ブランド、商品のファンとなってもらい、
彼らを味方につけたマーケティングをやって行くと言うアプローチです。もう一つは、顧客が力を得たのだから、従業員にも力を与えようと言う考え方です。
ソーシャルメディアを活用すれば、生活者が情報力を得たのと同じように従業員に力を与える事も出来ます。
それによって、どんどんイノベーションを起こし、個人のパワーに対応して行く事ができると言う事です。この様に、テクノロジーや社会のオープンな方向への進化に伴い、フラット化した企業と個人の関係において、
我々が企業として何をして行くべきなのか、いい加減真剣に考え始める時期に来たのではないかと思います。長くなってしまいましたが、もうひとつ思った事があります。
今までの文脈ではどちらかと言うと「消費者」との付き合い方をイメージしていましたが、
力を得ているのは「開発者」「起業家」も同様です。今回のカンファレンスに登場したスタートアップ企業や、私の様な個人開発者がそれです。
彼らが力を得ているのは、
Google、Apple、Facebook、Mixi、Twitter等、、多くのプラットフォームが、
APIを無料で開放し、サードパーティアプリの立ち上げを推奨しているからです。一見すると、何故自分たちの商品をただで公開してしまうんだろうと思いがちですが、
プラットフォーム側としては大きなメリットがあるんです。それは、無限のアイデアの源泉を得られると言う事です。
一つの企業が発想できるアイデアの量はタカが知れています。
それに固執し守っているだけではそこから先の成長はおぼつきません。
ましてや、このスピーディーな世界においては致命的な停滞となります。そこで、コアの収益源を抑えた上で、周辺の機能の拡張はサードパーティーに任せてしまう事にするのです。
そうすると、世界中の熱意ある開発者がそのプラットフォームの為に無数のアイデアを出してくれるようになり、
結果としてそのプラットフォーム全体が急成長出来る訳です。この発想をより多くの企業が取り入れるべきです。
Webサービスを展開している企業であればAPIを無料で開放しましょう。
スタートアップや個人開発者をサポートする制度を作りましょう。そうする事で、機能改善のスピードが飛躍的に向上し、
優秀な人材を集めることにも寄与するはずです。また、こう言った取り組みをしている企業は、
アーリーアダプターに支持されるでしょうから、そう言った観点でも大きな意味があります。個人的にはそう言った熱意ある方々と一緒に仕事をして見たいと言う思いもあるんですよね。
私の会社では今すぐにこう言う事が出来るかと言うと少しハードルが高いかも知れませんが、
近い将来必ず実現させたいと思っています。